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1997年度(平成9年度) | 資料集 | 大分県産業科学技術センター

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(1)

平成9年度 研究報告 大分県産業科学技術センター

研削加工における高精度修正加工システムの研究

水江 宏。船 田 昌。大塚裕俊 機械電子部

St udyonCo汀eCt i veM

ac hi ni ngSys t em

丘)r Pr ec i s i onG

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要旨

工作機械を使用して金型部品等の除去加工(切削中研削。放電加工等)を行う場合,寸法中形状誤差は,位置 決め精度などの工作機械が内包する要因,加工抵抗による力学的・熱的な要因,加工工具の精度等による要因, 工作物の取り付けによる要因,加工現象そのものによる要因等から影響を受ける。

そこで,本研究では,バックラッシエラー等の工作機械が内包する誤差に着目し,ジグ研削盤を用いて,修正

加工プログラムによる C軸制御の輪郭研削加工を行った。その結果,通常の加工プログラムによる輪郭加工と

比べて,本加工法により,真円度の精度で約30%の精度向上が認められた.

1。緒 言

加工誤差のうち工具の誤差,加工条件による誤差,工 作物の取り付け誤差等は,作業者の技能に大きく依存し ている。つまり,熟練作業者の十分な注意によりタ これ らの誤差はある程度減少させることが可能といえる.

一方,工作機械が内包する誤差,例えば,スケールの 誤急 真直度の誤差,バックラッシュラー等の準静的あ るいは幾何学的な要因による誤差は,一般的な方法では, 減少させることが困難である.

従束 保有する工作機械の精度以上の加工を行う必要 がある場合は,熟練作業者による手仕上げ等の方法で対 応してきた.しかし,従来の方法では,近年の熟練作業 者の不足,手作業による加工効率の悪さ,工作機械の老 朽化による精度の悪化など,解決すべき多くの技術的問 題がある。これらの問題を解決するには,現有の工作機 械を用いて修正加工(仕上げ加工)を行うことにより精度

・能率を向上させるための研究が必要である(1=2〕(3)

そこで本研究では, これまで試みられたことのないジ グ研削盤を対象として,1次加工の測定データを考慮に 入れた修正加工用のNCプログラムを作成し,C軸制御 による輪郭研削加工(仕上げ加工)賽験を行った・また, 通常のNCプログラムによる輪郭研削加工(C軸制御)を 行い,位置の誤差と形状誤差(真円度)の2つの誤差につ いて修正加工と比較検討し,その有効性を明らかにした ので以下に報告する。

2.修正加エの手法 2.て エ作機械が持つ誤差の種類

修正加工用プログラムを作成するには,対象となる工 作機械が内包する誤差の特徴を,1次加工後の測定結果 から把握する必要がある.

一般に,従来の方法で円形状の輪郭加工を行う場合, 工作機械は以下の誤差を生じると言われている。

Gスケールの長さ誤差:軸方向(ⅩY)の楕円となる.

②軸案内の実直度誤差:450 傾斜した楕円となる. (加工の方向を変えても傾きの方向は同じ.)

③サーボリードエラー:45〇 傾斜した楕円となる。 (加工の方向を変えると傾きの方向は反対になる.) ④パソクラッシエラー:各軸(ⅩY)の送り方向が変わ

るとき段差を生じる。

⑤定期的エラーー:リードスクリュー等の誤差により, 振動状の波形が現れる。

⑥その他の誤差:スケ}ルの部分的エラー等により不 定期に発生する誤差。

2 2 喜呉墓の修正方法

本研究では,工作機械により生じた誤差を位置(形状 の基準点〉の誤差と形状誤差(真円度等)の2種類に分類

し,修正加工法について検討する.

また,寸法誤差(直径や幅等の誤差)は,工作機械が内 包する誤差から生じたとしても,切り込みを追い込むこ

(2)

平成9年度 研究報告 大分県産業科学技術センタ… 2.2.1位置の誤差の修正方法

Fi g.1に位置の誤差とその修正方法を示す。位置の誤 差とは,設計形状と加工形状がベストフィットの状態で あるとした場合の,オブジェクトの設計基準点(設計形 状の中心)と測定基準点(加工形状の中心)とのずれをい

う.

位置の誤差は,加工プログラムの設計基準点に位置補 正ベクトル(風)を付加することにより修正した.位置補 正ベクトルは,位置誤差ベクトル(鼎)に対して反対方向 を向き,位置の補正係数をkpとすると,(斜体英文字 はベクトルを表す)

ダ。=−kpXPg (kp=1) と表される.

具体的には,ワーク座標系の設定を位置補正ベクトル 分オフセットさせることにより工具径路全体を簡便に移 動させる方法と,NCプログラム中の工具位置指令をオ フセットさせることにより工具径路を修正する方法があ る.今回は,形状補正において工具位置指令をオフセッ

トする必要があるので,後者の方法とする。

すように,測定形状に対して設計形状(理想形状)を軸と して反転した形状を工具経路とする修正プログラムがで きる。そして,全ての誤差(凸凹〉が再現性を有すると仮 定すると,修正加工プログラムは凸凹を打ち消し,工具 は理想的な設計形状の上を移動する,と考える.

7Co謡藍

∫ か、、罪 転読=C。汀。。b、r。Ve。t。r

Fi g.2 Pr of l l ee汀Or

3,実験方法 3.1装置

工作機械は三井精機(株)製ジグ研削盤3GCNを使用 した.精度比較測定には,(株)ミツトヨ製3次元座標測

定機H

YPER−KN

810†

M

PP−4,(株)東京精密製真円安

測定機ロンコム52B−750を使用した。テキストファイル からFANUC P−Gファイルへの変換は,ファダム(株)製 NC_Com7eれP−Gを使用した.

Fi g.3にジグ研削盤での修正加工実験装置を示す・

Fi g.1Pos i t i one汀Or

2.2.2 形状誤差の修正方法

Fi g.2に,形状誤差とその修正方法を示す・形状誤差 とは,設計上の実の形状(円や四角等)と測定形状の誤差 をいう.形状誤差は,加工プログラムの位置指令座標値 に形状補正ベクトル(腰。)を付加する方法により修正する. 形状補正ベクトルは,形状誤差ベクトル(腰g)に対して反 対の向きを有し,形状の補正係数を如とすると,

腰。=】1虹×虎e (b=1き 0.8,0.5♀ 0.3) と表される。

ここで,形状の補正量(形状補正ベクトルの絶対値) の最適値を検討するため,形状の補正係数kを1,0.8, 0。5,0.3の4種類とする.

具体的には,NCプログラムの位置決め指令である直 線送り(GOl )や円弧送り(GO2フ03)を,形状測定のデータ 数に対応した微小な直線や円弧に細分化し,形状補正ベ クトルをそれぞれに付加する.これにより,Fi g.2に示

Fi g.3J i ggr i ndi ngmac h血e

3.2 実験方法

Fi g.4に実験手順のフローを示す・

本研究では,オンザマシンで加工と測定を実施してい

ないため,被削材を加工機と測定機に載せ換える度に,

(3)

平成9年度 研究報告 大分県産業科学技締センター

パークアウト1臥 修正加工(仕上げ)で切り込み8〃m X2回十スパークアウト1回を実施した.

Tabl el に実験条件を示す一 基準穴も修正加工用穴の 場合も,クイル上下のストローク量は,被削材の上下面 から工具砥石側面の約1/2がオーバーするように設定し た.

また,工具による誤差や加工条件による誤差を排除す るために,工具は新品を使用し,切込み量や工具送り速 度等の加工条件は,通常の加工より負荷の少ない設定と

した。 そこで今回は,ダイヤルゲージを使用して,再搭載に

よる被削材のずれを2鎚m

以内に調整し,必ず基準穴

の研削加工を行った後に修正加工を行った.これにより, オンザマシン計測と同等の精度(再現性)を確保する。

ジグ研削盤による基準穴加工(遊星回転加工) および,穴形状一次加工(C軸加工)

Tabl e 1 Exper i m

ent al Gondi l i ons

machi 王血g

CBNt ool di amet er mm/Gr akl 10.0/#120 3.0/削50 Spi ndl er ot at i onal s peed r pm 10,000 30,000

C}r Cl e/mi n 20 180

Choppl n弓選浩。。。W

n)

Pl anet r ot at i onal s peed r pm 50

Feedr at e mm/mi n 50,i OO Dept hoぎgr 血d 〃m 3.0 8.0 Spar k−Out 2

Chemまcal s ol ut i ont ypenui dl /mi n 2.0 2.0 Fi g.4 CoI TeCt まヽ7emaCh血ngpr oces s

3.3 加工条件

Fi g.5に被削材の加工形状を示す凸 平面研削した板材 (SKD−11,Non−heat t r eat ment )に,ワイヤーカット放電加 工機で基準穴2個と修正加工用穴1個の下穴加工を行っ た.次に,ジグ研削盤で基準穴の加工と修正加工用穴の

1次加工,修正加工(仕上げ)を行った.基準穴の加工の

場合は,遊星回転加工により,切り込み3〃m

X3回

+スパークアウト1回を加工物取り付けの度に実施した. またぅ 修正加工用穴の場合,C軸制御を利用した輪郭研

削加工により,1次加工で切り込み8〃m

X3回+ス

3.4 測定条件

位置の精度測定には,3次元測定機を使用し,倣い測 定を行った.測定ピッチは0.5mm,測定の深さは上面

から3.O

m

m

の位置,プローブ径は3.O

m

m

,測定速度は

3.Omm/s ecとした.これにより得られた160点の測定デ ータをテキストファイルに変換し,PC上で真円度が最 小値になるように中心座標を繰り返し計算し,位置の誤 差を算出した,

形状測定には,真円度測定機を使用した.先端子直径

は1.6m

m

,測定速度は6.O

m

m

/m

i n,測定倍率は5000

(Feedr at el O

O

m

m

/m

i n),10000(Feedr at e50m

m

/m

i n)倍,

中心定義法は最大内接円中心法とした。

4.実験結果 4.1位置の誤差

Tabl e 2に修正加工を行った場合と行わなかった場合 の位置の誤差(Ⅹ,Y)を示す。

修正加工を行うことにより,中心位置の座標値(Ⅹ。Y) は± が反転しており,誤差の絶対値は大きくなっている. つまり,位置の補正係数kp=1では,過剰な修正が行わ れたといえる.

また,送り 50mm/m血と100mm/mi nで比較すると,

50

7。 Reねr 血cemachぬ喝hol es 、¢12×2

(4)

平成9年度 研究報告 大分県産業科学技術センタ…

位置の誤差は反対の方向を示している。今回の実験結果 では,位置の誤差は再現性がないと思われるが,中心定 義法の違いや熱的影響や加工物クランプカの影響等を受 けやすいため,誤差の再現性を確認するための実験が必 要と思われる.

Tabl e2 Pos i t i one汀Or X,Y(〃′ m)

_【r 、

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L

r

L

∫、て㌻㌧え㌔=

S由比/endpol nt

Feedr at e(mm/mi n) 100

Non−CO汀eCt i on 0.2)3.8 −0.4,−6.9

(abs ol ut e\▼al ue) (3.8) (6.9)

】 1.0 0

∃ 4

Co汀eCt i on 0.8 壷0・6,7・2

kp… 1・0 kr (7・2)

(abs ol ut e

ヽ7ahl e) :0.5 −0.3,−4.4 (4.4) (7.5)

‡ 0.3 l .1,8.0

(8.1)

\/㌧

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ゝミご√†、﹂′、

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Feedr at e:100mm血血 Roundnes s :5.4〟m Fi g.6 Roundnes s pr o負1e(Non−COI TeCt i on)

4.2 形状誤差

Tabi e 3に修正加工を行った場合と行わなかった場合 の形状誤差(其円度)を示す.

修正加工を行った全ての条件で真円度の向上が認めら れた.特に形状の補正係数h=0.5のとき,最も精度が 高く,真円度の値で約30%の改善が認められた.

Tabl e3 Rot m

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二十 Feedr at e(mm血痕〉 50 100

Non−COr r eCt i on 1.96 5.4

Co王TeCtlOn kp i.0 l ‡ 奴 1.0 4.5 0、8 H 4.7 0.5 要1.36 3.9 H

0.3 山 ∃ H

i 4.5

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Feedr at e:100mm/mi n Roundnes s ニ4.5〃m Fi g.7 Roundnes s pr o地(Cor r ect i on(kr =1.0))

′ こ、、Ⅴ→ニセニ√斗−−、、

√L√一ノ/ ∵⊥−二し′八山、′\\

ヽヽ−→

\ノ∴ へ Fi g.6に送り100mm血i n,修正加工なしの測定形状を

示す.これでは,Y軸移動方向が一からTへ変化すると

ころで,バックラッシエラーが約4 〃 m発生している。 またヲ 全体的にみると縦長の楕円形状が認められる,

また,加工のs t aれ/end poi nt で札 二重に加工が行 われることにより約2〟mの削り過ぎが生じている。

Fi g.7に送り100mm血i n匂 修正加工(む=1.0)後の測定 形状を示す。これでは,パソクラッシエラーが過剰に修 正され9 また,全体の楕円形状も縦長から横長へと変化

し,過剰に修正されていることがわかる,

Fi g.8に送り100mm/mi n・修正加工(汝=0■ 5)彼の測定 形状を示す。過剰な修正が行われている部分は認められ るが,おおむね良好な真円形状が得られた.

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(5)

平成9年度 研究報告 大分県産業科学妓締センタ】

い起伏は大きくなる可能性もあるので,それぞれの加工 機ごとに再現性のある起伏はどのようなものかを十分検 討する必要がある.

また,加工方向は同じ(時計回り(up cut ))にもかかわ らず,送りの違いにより,バックラッシエラーの発生傾 向は全く異なっている.つまり,誤差の再現性について は,加工条件の違いも考慮に入れなくてはならない.

さらに,加工のs t aれ/end poi 三ユt での削り過ぎについ ては,修正加工により,送りi OOmm血i nでは修正され ているが,送り50mm/mi nでは修正されていない。今回 の方法では,St ar t /end poi nt の山谷も他の山谷と同様 の手法で修正プログラムを作成した。今後はs t ar t /end

poi nt で2回の加工を生じないように工具経路自体を改

善するか,この部分のみ形状の補正係数を大きくする等 の特別な手法を検討する必要がある.これにより,さら に形状精度を高めることが可能ではないかと思われる.

5.緒 言

修正加工の実験により以下のことが明らかとなった。 ①今回の修正加工の手法により,形状精度(真円度)

については約30%向上する.

②形状の補正係数kは0.5前後で最適な形状の修正

が行われる。

③位置の補正係数kpを1とすると,位置の修正が過

剰に行われる.

④形状の補正係数kr を1とすると,形状の修正が過

剰に行われる.

参考文献

(1)垣野ら:除去加工用修正加工システムに関する研究 :精密工学会誌,59,i O(1993)1689

(2)垣野ら:NC工作機械の運動精度に関する研究:精 密工学会誌,52,7(1986)1193

(3)垣野ら:加工形状誤差の偏差検出型オンザマシン計 測に関する研究:精密工学会誌,58,6(1992)i O59 Fi g.9に送り50mm血血 修正加工なしの測定形状を示

す.修正なしでは,Y軸移動方向が+から−へ変化する ところで約2.5 〟 mのパソクラッシエラーが生じてい

る。また,全体に1∼2〟m

程度の山谷が生じている

ことがわかる。

Fi g.10に送り 50mm/mi n,修正加工(k=0.5)後の測定 形状を示す.バックラッシエラーはほぼ修正され,全周 にあった山谷は若干減少し,良好な真円形状が得られた.

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Feedr at e:50mm/mi n Roundnes s :1.36〃m Fi g.10 Roun血es s pr o員1e(Co汀eCt i on(kr =0.5))

Tabl e  1  Exper i m ent al   Gondi l i ons
Tabl e2  Pos i t i one汀O r X,Y(〃′ m )

参照

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